一眼レフカメラのテクニック キャッチライトの活動など

写真に正解はない、とは前述した通りです。

好き嫌いもあるので一概にはいえませんが、ここでは、写真をぱっと見たときにその場のにおいや音、空気感が感じられるようなものがいい写真だと定義することにしましょう。

キャッチライト

生気のない表情のことを「目に光がない」とか「死んだ魚の目」などと表現しますね。目が濁って光を反射していない状態を指します。逆に「目がキラキラしている」というのは、イキイキしていることを示しています。

被写体が人や動物の場合、眼球に光を入れると、急に息を吹き込んだようにイキイキと見えます。これをキャッチライトと呼びます。

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上下ほぼ同じ構図ですが、左側のサルの目に光が入っているのといないのとでは、写真の生気そのものが違って見えますね。

被写体がよく動く動物の場合は難しいですが、人物の場合は簡単にキャッチライトさせることができます。写真を撮るとき、被写体の視界に入るところ=目に映るところにレフ板を置くだけ。レフ板でなくても、ノートやタオルなど、白いものなら何でも使えます。ちなみに壁紙や天井が白いところなら、何もしなくてもキャッチライトしてくれます。

しかしレフ板は一枚持っておくとポートレート撮影などで使えますので、手に入れておきたいアクセサリです。

情報量を減らす

黒くつぶれてしまったり、白く飛んでしまったりした写真は失敗と考えがちですが、それをあえて利用してみましょう。影絵のようにシルエットを浮かび上がらせて撮ると、物語性のある写真になります。

水族館、イルカの水槽前での一枚です。近づいてきたイルカを見せようと、わが子を高い高いするお母さん、寄り添うお父さん。「ほら、イルカさんだよ、高いたかーい」なんて声が聞こえてきそうな写真です。

あえて被写体の表情を隠してしまうことで、高い高いという印象的なポーズを引き立たせ、幸せな家族像を雄弁に物語っています。情報量を減らすのは、見る者の想像力をかきたてる効果もあります。

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青い空は順光で

抜けるような快晴の空は、ぜひ順光で撮りましょう。実際の見た目以上に青が深く、美しく表現できます。

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思い切って寄る

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被写体が小さいものの場合、普通の感覚で写してしまうと、何を撮りたかったのかわからなくなってしまうということがあります。オーバーなくらいに寄って撮ることが大切になってきます。この写真は18ミリで撮影しました。画面手前の黒いイヤリングに、最短撮影距離ぎりぎりまで近づいています。

季節感を出す

たとえば夏の暑さを表現したい場合、どんな被写体を選びますか?

かき氷をほおばる女性? 公園で水遊びをする子どもたち?

逆に冬の寒さを表現するとしたら、どうでしょう。

スーツの上にダウンジャケットを羽織りビル風に首をすくめるサラリーマン? 白い息を吐いて恋人を待つ女性?

こうして例をあげていくと、暑さを表現するには涼しげな被写体が、逆に寒さを表現するにはあたたかそうな被写体がよいということがわかります。「かき氷を食べたくなるほど暑い」「ダウンジャケットを引っ張り出さなければいけないほど寒い」ことを雄弁に語ってくれるというわけですね。

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気温が35度近くあった日、暑すぎてプールにつかり昼寝をするクマです(プールが水色だったらもっと涼しげでよかったのでしょうが)。ひまわりやアジサイといった花や、クリスマスなどのイベントそのもの、あるいは雪などが季節を表現してくれる場合もあります。

季節感のある写真は、演技ではないぶんイキイキとして見えます。一年中いつでも撮れる写真ではなく、たまには季節を切り取った写真を撮ってみることもおすすめします。

イキイキと動きのある写真を

人間は本能的に、動いているものに目を奪われます。

写真でも同じことで、真正面を向いた証明写真より、振り向きざまに髪がたなびいたスナップの方が魅力的に見えるものです。

子どもやペットなどのように頼まなくてもイキイキと動いてくれる被写体や、職業モデルやレースクイーンといったポーズに慣れている被写体ならいいのですが、初対面の女性にスナップのモデルを頼んだ場合などは、撮影者から指示を出さないと動きのある写真にするのは難しくなります。

 

一番簡単なのは、手を動かしてもらうこと。人間は話していると、口はもちろんですが、手が自然と動くものです。笑うときには手を叩いたり、驚いたときには口元を手で覆ったりしますね。

シャッターを切りながら、被写体のモデルと絶えず会話しましょう。「きのうの晩ごはんはなんだった?」など、写真とは関係のない、他愛のない話題でかまいません。こちらからの質問に対して考えてもらう間、目線を外したり手を口元に持っていったりしてくれればしめたもの。シャッターチャンスを逃さないために、常に緊張感を持ってファインダーをのぞきましょう。笑ってほしいからといって、無理に面白いことを言う必要もありません。

 

ほかにも髪をかきあげたり、耳にかけたりと顔の近くで手を動かしてもらえば、大胆にトリミングしてもイキイキとした写真になります。シャッタースピードに支障が出ない程度にゆっくり歩かせたり、振り向かせたりするのも効果的です。

win-winになろう

被写体の気持ちになって考えてみましょう。初対面の人に黙ってカメラを向けられて撮られ続けているのは、かなり居心地が悪いものです。そんな状態で「もっと笑って」と言われても、困惑して不自然な笑顔になってしまうかもしれませんね。

笑顔を引き出すために特に有効なのは、とにかく否定せず、ほめること。被写体としては「今の表情、すごくいいよ」と肯定されるだけで、かなり気持ちが楽になります。「きれいだよ、魅力的だよ」と大げさにほめているうちに、だんだん心を開いてくれるものです。

被写体に安心感を与えるためには、撮影した写真をその場で見せるのもいいでしょう。「こんなふうに撮れたよ」とモニターを見せることで、ポーズや表情の確認をしてもらうと同時に、「もっとこんなポーズを取ってほしい」などの要望を伝えやすくなるというメリットがあります。

また、被写体にセールスポイントとコンプレックスを聞いておくことも重要です。

セールスポイントは積極的に取り込んで撮ってあげましょう。

全身どこから撮られても自信がある、という人は少ないので、コンプレックスも何かしら聞き出しましょう。「目立つニキビ跡があるから、背中はあまり撮らないでほしい」とか「左目のほうがくっきりした二重だから、横顔は左側からがいい」とか、言われなければわからない程度の話かもしれませんが、いずれにせよ自分の自信のない部分を大写しにされるのは嫌なものです。撮影者にとっては魅力的で撮りたい部分をコンプレックスに感じていることもあるかもしれませんが、その場合は真摯にほめて説得しましょう。

 

カメラを構えているとついつい構図や光の当て方のことばかり考えてしまいがちです。しかし撮影者が怖い顔をしていては、笑ってくれるものも笑ってくれなくなってしまいます。構図はトリミングでなんとかなることもありますが、被写体のポーズや笑顔は、撮影が終わってしまったらどうにもなりません。被写体の気持ちも考えながらいい写真を撮る、win-winの関係になりましょう。

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